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アルバニーのクリスマスツリー
アメリカの伝説

 
昔、アルバニーという町に裕福な毛皮商人の娘でアグネスという少女がいました。彼女は父親と違って、生命のない毛皮のコートより動物の命の方が大切だと思っていました。家にひとりとり残されることが多かった彼女は、飼っている動物たちとおしゃべりしたり、野生動物を観察して過ごしました。
 やがて大人になり、結婚をしましたが、夫に財産をすべて持ち逃げされてしまいました。父親も死んでしまい、彼女は本当にひとりぼっちになってしまいました。誇り高いアグネスは、お金や同情を受けるのをいやがり、郊外にあるトキワの森の中の荒れ果てた小屋に引きこもりました。ほとんどの時間を野生動物とともに過ごし、彼女自身も野生動物になっていくようでした。アグネスは冬の間でも動物たちが飢えたりしないようにと、木に食べ物を結びつけるという独創的な方法を考えだしていました。
 ある日、宅地開発業者がアグネスのいる森を、保養地をつくるために購入しました。しかし、業者は彼女をかわいそうに思い、彼女が生きている間は森を伐らないことにしました。それからまもない冬の朝、アグネスはひっそりと息をひきとりました。
 アグネスの死後、彼女を偲んで人々が訪れ、動物に食べ物を置いていくようになりました。このことは地元の新聞に載り、その森は聖地となりました。開発業者は抗議を避けるため、誰もが忙しいクリスマスの数日前に伐採人を派遣しました。ところが、木という木にびっしりと鳥がとまっていて、まるで鳥のピラミッドのようになっていたのです。木の下には数え切れないほどのリスやスカンク、アライグマがいます。伐採人は怖じ気づいて、その場から逃げ出しました。  この話は新聞にも取り上げられ、世間の関心が高まり、開発業者は森をそのまま残すことにしました。アグネスが守った森は、今も昔のままです。

引用:フェリシモ出版 The Chiristmas Tree Book